地下室の作り方は大きく3通りある

ネガティブなところから入りますが、「地下をつくるのは倍のお金がかかる」とよく言われます。
注文住宅では限られた敷地面積を有効利用するために建物を縦に伸ばすことは確かに合理的ですが、

コストが高そう。。
過ごしにくい環境ではないか。。
と現実的に考えだすとハードルが高く思えるのがほとんどの方だと思います。

ポジティブな面をみると、趣味部屋や防音室、ワイン等を保管する倉庫等々、地下室ならではのアクティビティや落ち着いた雰囲気があり、憧れをもたれる方も多いと思います。

実は地下室には作り方次第で大きく3通りありますのでそれぞれの特徴をご説明します。

①地下室
②半地下室
③床下収納

①地下室
地下室の画像②
総掘りの地下室の例

まずは一般的な地下室。天井までフルで地中に埋まる形状のものです。
地下は自然光が入らないのと地面に降った雨が外周部にあるのでどうしても湿気がこもりがちになります。
窓がないので換気扇+除湿器などで除湿措置が必須です。
掘り込む分、土地の地中の水位が心配なのとトイレ等の水回りがある場合には道路側に接続されている公共下水より低い位置に排水することになり、ポンプアップする必要がある場合があります。

躯体外周で防水措置をしたうえで、湧水対策として外周部を2重壁として壁の間に排水機能をもたせるような作り方もできればおすすめしています。内側に200程度壁をふかす必要があり、少し部屋が狭くなりますが安心感があります。

②半地下
半地下の画像
半地下の例。外気に面したところに窓がとれるので住環境がよくなる。

フル地下に比べて掘り込む量が少なく済むのでコスト的には安価でできます。
建築基準法の地下扱いとすることが可能⇒容積緩和も受けられます。
窓を設けられるので自然換気・自然採光ができ、湿気対策がしやすい。

③床下収納
床下収納の画像
クローゼット内の床に蓋を開け、作り付けのハシゴで床下にアクセスできるようにした例

床下収納はこの中では最もコストが安価です。木造の場合、躯体としては新築時に一部基礎を深く掘り込む+外部の防水措置くらいで済みます。余裕があれば、使い勝手を考えるて内装仕上げを簡易的にでも施しす方がいいかもしれません。

床下収納には法規上の制限があり、

・天井高が1.4m以下という制限があり、立ち上がれないのでかがみながら歩くことになります。
・利用階(今回の場合は1階。中間階に設けることや利用する方向を制限している自治体もあります。)の半分以下まで等の面積の制限があります。

床下収納のトップライト
アクリル+ガラスで床下に自然採光を確保した例。1階ホール内部にも意匠的に溶け込みます。

敷地内の空いたところに物置を置くほどのスペースもとれない場合、収納用途としては有効だと思います。

※以上、コストやスペースに余裕があれば①がいいかもしれませんが、②や③がより現実的という場合もありますので、柔軟に理想と現実の折り合うところをみつけていきたいところです。