大谷石擁壁のある計画
独立して早5年が経とうとしていますが、なぜかがけや高低差のある敷地に多くあたります。
大手が敬遠するからか、施工面や計画面で思い通りの建物形状にできず困って持ち込まれるケースもあります。
安全が第一、、、ただしコストには限りがある。。そして建物は許される限りめいっぱい建てたい。
ほとんどがそういった感じですので、個別に調査をして慎重に対処する必要があります。
既存利用またはやり替え、あるいは計画地が隣地より高い場合、逆に低い場合。。
計画建物が木造かRC造か、ほぼやりつくした感はありますが今回は大谷石の擁壁の一例です。
大谷石(自然石積みもほぼ同じ)擁壁は建築確認などある前から作られたもので日本各地に無数にあり、東京でも敷地の広めの住宅街などではいまだに割と多く見かけられます。
まずこれが安全かどうかを判断する必要があり、ここが悩みどころなのですが、今回はやり替えの判断となりました。
既存を全て解体してから新しく築造できれば事は簡単なのですが、住宅密集地のためそんなスペースもありません。
今回は建物を境界ラインいっぱいに寄せて、擁壁を建物と一体的に施工する計画としたため、
擁壁を壊す前に建物の補強となる杭を打ち込む必要がありました。
擁壁の際を地表面から試掘調査をしてみたところ、ところどころ法面に対して鉛直方向に深く1mほどの石が打ち込まれていることがわかりました。丈夫に造ろうとする先人の知恵に感心しつつも、今回の計画には懸念材料となります。
建物範囲に干渉するので調査結果をもとに外観から土の中の部分を想像しながら、この鉛直に打ち込まれた石を避けるよう杭の位置を調整。
結果掘削を完了してみると安全に擁壁を解体でき、杭や計画建物も予定通り施工することができました。
安全と判断できるだけの根拠をもてるようになるためには、それなりの時間をかけ、調査することが重要かと思います。